第1回【イエサポ住まい支援コラム】

居住支援

長尾 祐太

筆者 長尾 祐太

不動産キャリア19年

【イエサポ住まい支援コラム】第1回

社会福祉協議会様で講演しました

「住宅セーフティネット制度 ~住まいを失う前にできること~」

先日、貝塚市社会福祉協議会様で、職員の皆さまを対象に「住宅セーフティネット制度 ~住まいを失う前にできること~」をテーマとした講演を行いました。講演では、住まいを失うリスクを抱えた方への支援や、地域で連携することの大切さについて、実際の現場で経験した事例を交えながらお話ししました。

今回の記事は講演の報告ではありません。

講演を通して改めて感じた、

「住まいを失ってからではなく、住まいを失う前に相談することの大切さ」

について、現場での経験をもとにお伝えします。


今回が【イエサポ住まい支援コラム】の第1回です。

このコラムでは、住宅セーフティネット制度居住支援法人の活動を通じて、地域で安心して暮らし続けるための情報を発信していきます。


住まいを失う前だからこそ、できる支援があります

「相談は住まいを失ってから」と思われがちです

結論からお伝えすると、

住まいの相談は、住まいを失う前が最も重要です。

多くの方は、

  • 家賃を滞納してしまった
  • 大家さんから退去を求められた
  • 保証人がいない
  • 高齢者 賃貸で断られ続けている
  • 生活保護 住まいについて相談したい

このような状況になって初めて相談されます。

しかし、実際にはその少し前から支援が始められれば、選択肢は大きく広がります。講演でも最初にお伝えしたのは、「住まいを失ってからではなく、住まいを失うリスクがある段階で相談できる」ということでした。


今回一番伝えたかったこと

住まいはゴールではなく、生活再建のスタートです

住まいがなくなると、

  • 住所がなくなる
  • 郵便物が届かない
  • 就職活動が難しくなる
  • 福祉サービスにつながりにくくなる
  • 介護や医療の調整も進まなくなる

つまり、

住まいを失うことは、生活そのものを失うことにつながります。

だからこそ、住宅セーフティネット制度は、単に部屋を紹介する制度ではありません。

地域全体で生活を支えるための仕組みなのです。

私たちホームサポート(イエサポ)も、大阪府指定の居住支援法人として、

貝塚市岸和田市をはじめ、泉州地域で住まい相談に携わっています。


現場で実際にあった3つの事例

①住所不定となった80代男性

ある日相談を受けたのは、

住所も携帯電話もなく、保証人もいない80代の男性でした。

行政も支援したい。

本人も住みたい。

しかし、

契約に必要な条件が何一つ揃っていませんでした。

大家さんへ事情を説明し、契約費用を分割にしていただき、住まいを確保。

その後に生活保護申請を進め、保証会社にも加入できました。

このケースで失っていたのは「住まい」だけではありません。

住所、お金、保証、連絡手段、社会とのつながり。

それらを同時に失っていたのです。

住まいが決まったことで、ようやく生活再建が始まりました。


②DV避難を必要としていた母子世帯

40代の女性とお子さん2人。

DV被害を受け、所持金も保証人もありませんでした。

このケースで感じたのは、

安全確保と住居確保は同時に進めなければならないということです。

避難先がなければ命を守れません。

しかし、一時避難だけでは生活は続きません。

安心して暮らせる住まいが決まり、その後も子育てや就労、地域とのつながりを支える支援が必要になります。

講演後も、「住まいが決まって終わりではない」という話に、多くの参加者が深くうなずかれていたことが印象的でした。


③ゴミ屋敷となり退去寸前だった高齢者

生活保護を受給し、訪問介護も利用されていた80代男性。

しかし、

家賃滞納が続き、ゴミ屋敷となり、退去寸前まで状況が悪化していました。

介護サービスは入っていました。

健康状態も把握されていました。

それでも、

家賃滞納という重要な情報が支援者同士で共有されていませんでした。

誰かが悪かったわけではありません。

情報がつながっていなかっただけです。

住居を紹介し、転居し、前の部屋を片付けることで生活を立て直せましたが、この経験から改めて感じたのは、

住まいを守るには、多職種の連携が欠かせないということでした。


講演を通して感じた地域課題

支援はある。でも、つながっていないことがあります。

今回、社会福祉協議会の職員の皆さまと意見交換をする中で感じたのは、

支援制度そのものが不足しているというより、

「どこへ相談すればよいか分からない」

という状況が少なくないことでした。

医療、介護、福祉、不動産、行政。

それぞれが懸命に支援しています。

しかし、住まいに関する情報は後回しになりやすく、気付いた時には退去期限が迫っているケースも珍しくありません。

一方で、参加者の皆さまからは、

「住まいを失う前に相談できることを知らなかった」

「もっと早く連携できれば助けられるケースがある」

という声もいただきました。

この気付きこそが、今回の講演で最も大きな学びだったように感じています。


地域で住まいを支えるために

住まいを守ることは、不動産会社だけの仕事ではありません。

また、福祉だけでも解決できません。

行政、社会福祉協議会、包括支援センター、ケアマネジャー、相談支援専門員、病院のMSW、大家さん、管理会社、そして居住支援法人

それぞれが役割を持ち、情報をつなぐことで救える住まいがあります。

私たちも**ホームサポート(イエサポ)**として、地域の皆さまと連携しながら、一人でも多くの方が安心して暮らせる環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。


まとめ

今回の講演で一番お伝えしたかったことは、

住まいを失ってからではなく、住まいを失う前に相談していただきたい。

その一点でした。

「これって相談していいのかな?」

と思われたら、

住まいを失ってからではなく、

住まいを失う前にご相談ください。

早い段階であればあるほど、

一緒に考えられる選択肢は広がります。

もしこの記事を読んで、

「このケースも相談できるかな?」

と思われた方は、

お気軽にお問い合わせください。

営業ではなく、一緒に状況を整理し、地域の支援機関とも連携しながら、今できる方法を考えさせていただきます。


次回予告

【イエサポ住まい支援コラム】第2回

「住宅セーフティネット制度とは? 居住支援法人は何をしているの?」

制度の概要や対象となる方、実際にどのような支援が受けられるのかを、初めての方にも分かりやすく解説します。