第9回【イエサポ住まい支援コラム】
【イエサポ住まい支援コラム】第9回
精神疾患があると賃貸住宅を断られる?
住まい探しで大切なのは「病名」よりも支援体制です
前回の振り返り
第8回では、
「退院することになったけれど、帰る家がない」
というテーマを取り上げました。
退院支援では、
治療が終わることと、
地域で生活を再開できることは同じではありません。
住まい、生活費、通院、福祉サービス。
そして、
緊急時の連絡先。
こうした生活面を整えて初めて、
退院後の暮らしが始まります。
今回は、その続きとして、
住まい相談の現場でも難しさを感じることの多い、
精神疾患がある方の賃貸住宅探し
についてお話しします。
精神疾患があると賃貸住宅は借りられない?
「精神疾患がある=借りられない」ではありません
最初にお伝えしたいのは、
精神疾患があるという理由だけで、住まいを諦める必要はありません。
実際の住まい相談では、
「病気のことを伝えたら断られた」
「一人暮らしは難しいと言われた」
「保証会社の審査も不安です」
といった声を聞くことがあります。
講演資料でも、
精神疾患があり住まいを断られているケースは、
居住支援が必要になる相談例として取り上げました。
ただし、
ここで大切なのは、
「病気があるから無理」
と決めつけないことです。
実際には、
大家さんや管理会社が不安に感じている点を整理すると、
別の課題が見えてくることがあります。
大家さんが不安に感じるのは何でしょうか
診断名そのものではなく「何かあったとき」の対応です
大家さんが心配するのは、
必ずしも病名そのものではありません。
例えば、
体調が悪化したとき誰に連絡するのか
服薬や通院は継続できているのか
近隣トラブルが起きたらどうするのか
家賃管理は問題ないのか
一人で生活できるのか
困ったときに相談できる人がいるのか
といった点です。
つまり、
「入居後に問題が起きた場合、誰が一緒に対応するのか分からない」
ことが不安につながります。
この構造は、
高齢者の住まい探しとよく似ています。
「支援体制が見えないこと」が大きな不安になる
属性ではなく、支援の有無が重要な場合があります
講演では、
外国籍の30代男性の事例も紹介しました。
その方は、
保証人がいない。
日本語が話せない。
無職。
という状況でした。
そこで、
大家さんとの交渉や、
保証会社との調整を行い、
入居後には就職支援へつなげました。
このケースから見えたのは、
属性そのものよりも、支援体制が見えないことへの不安が大きい
ということでした。
精神疾患のある方の住まい探しでも、
同じことが言えます。
「精神疾患があります」
だけでは、
大家さんは不安になるかもしれません。
一方で、
相談支援専門員が関わっている。
通院先が決まっている。
訪問看護を利用している。
家族や支援機関と連絡が取れる。
困ったときの相談先が決まっている。
こうした情報が整理されていると、
受け止め方が変わることがあります。
住まい探しで大切なのは「支援者をつなぐこと」
不動産だけでは解決できないことがあります
精神疾患のある方の住まい相談では、
部屋を探すことだけで解決しないケースがあります。
例えば、
住まいは見つかった。
でも、
通院先が遠い。
服薬管理に不安がある。
生活リズムが安定していない。
金銭管理が難しい。
孤立してしまう。
そんな場合、
入居できても、
住み続けることが難しくなる可能性があります。
だからこそ、
住まい探しの段階から、
医療機関
相談支援専門員
訪問看護
行政
社会福祉協議会
居住支援法人
大家さん・管理会社
などが、
必要に応じて情報を共有することが大切です。
居住支援法人ができること
「物件紹介」だけではありません
私たちホームサポート(イエサポ)が、
実際に行っている支援には、
住まい探しだけではなく、
大家さんとの交渉。
保証会社との調整。
契約費用の分割交渉。
病院との連携。
相談支援専門員との連携。
見守り調整。
緊急連絡先への対応などがあります。
つまり、
居住支援法人の役割は、
単に「住める物件を探すこと」ではありません。
入居後も生活を続けられる環境をつくること
も大切な役割です。
すべての情報を大家さんに伝えればいいわけではありません
必要なのは「生活に必要な情報」の整理です
住まい相談では、
「病気のことをどこまで大家さんに伝えるべきか」
という難しさがあります。
大切なのは、
本人の情報を必要以上に伝えることではありません。
むしろ、
大家さんが安心して貸せるように、
入居後の生活に必要な支援体制を整理すること
が重要です。
例えば、
「何かあったときはこの支援機関へ連絡できます」
「定期的に支援者が訪問します」
「通院先があります」
といった、
生活上必要な部分を整理します。
本人のプライバシーを守りながら、
大家さんの不安も減らす。
その間を調整することが、
居住支援では求められます。
病気が安定しているうちに住まいを考える
住まいを失ってからでは選択肢が減ります
精神疾患のある方の場合、
体調が悪化してから、
住まいの問題も同時に起きることがあります。
家賃を滞納する。
部屋を片付けられなくなる。
近隣との関係が悪化する。
入院することになる。
その後、
自宅へ戻れなくなる。
問題がいくつも重なってから相談になると、
選択肢が少なくなってしまいます。
だからこそ、
「今の住まいを続けるのが少し不安」
という段階で相談することが大切です。
講演でも、
住まいを失ってからではなく、
住まいを失うリスクがある段階で相談できることをお伝えしました。
支援者の方へ|「住まい」は治療や福祉とは別の問題ではありません
生活の土台として考えてください
医療や福祉の現場では、
どうしても体調やサービス利用が中心になります。
しかし、
住まいが安定していなければ、
その支援自体が続けにくくなることがあります。
住まいがないことで、
住所がなくなる。
郵便物が届かない。
生活保護申請が進みにくい。
介護や福祉サービスの調整も難しくなる。
講演資料でも、
こうした課題をお伝えしました。
だからこそ、
住まいは生活再建のスタート地点
なのです。
社会福祉協議会や相談支援専門員との連携
役割を分けることで支援が続きやすくなります
一つの機関だけで、
本人の生活すべてを支えることは難しいものです。
例えば、
社会福祉協議会が、
相談支援。
金銭管理。
見守り。
地域とのつながり。
居住支援法人が、
住居確保。
大家さんとの調整。
保証会社との調整。
生活再建支援。
というように、
それぞれの専門性を活かすことができます。
これは、
精神疾患のある方の支援でも同じです。
医療は医療。
福祉は福祉。
不動産は不動産。
と切り離すのではなく、
必要なところをつなぐこと
が大切です。
貝塚市・岸和田市など泉州地域での住まい相談
私たち**ホームサポート(イエサポ)**は、
大阪府指定の居住支援法人として、
貝塚市・岸和田市をはじめとした泉州地域で、
さまざまな住まい相談を受けています。
高齢者 賃貸の問題。
生活保護 住まいの問題。
保証人がいない。
精神疾患があり住まいが見つからない。
こうした相談では、
物件の条件だけを見るのではなく、
本人が今どのような生活をしているのか。
どのような支援につながっているのか。
入居後は誰が関わるのか。
という部分から整理していきます。
まとめ|「病気があるから住めない」ではなく、どう支えるかを考える
精神疾患があるからといって、
賃貸住宅を諦める必要はありません。
一方で、
大家さんが不安を感じることもあります。
大切なのは、
その不安を「偏見」として終わらせるのではなく、
何を不安に感じているのかを確認すること
です。
そして、
その不安に対して、
医療。
福祉。
行政。
地域。
不動産。
居住支援法人。
それぞれができることを持ち寄ります。
「病気があるから難しい」から、
「この支援体制なら生活できる」へ。
そのように考えられる地域をつくることが、
これからの居住支援には必要だと感じています。
「これって相談していいのかな?」
と思われたら、
住まいを失ってからではなく、
住まいを失う前にご相談ください。
早い段階であればあるほど、
一緒に考えられる選択肢は広がります。
もしこの記事を読んで、
「このケースも相談できるかな?」
と思われた方は、
お気軽にお問い合わせください。
ご本人やご家族だけでなく、
病院のMSW、
相談支援専門員、
社会福祉協議会、
行政など、
支援に携わる方からの住まい相談も、
状況を整理するところから一緒に考えていきます。
次回予告|第10回
「ゴミ屋敷になったら退去するしかない?住まいを失う前にできること」
部屋が片付けられない。
ゴミが増えている。
近隣から苦情が出ている。
家賃も滞納している。
こうした状態になると、
「もう退去するしかない」
と思われるかもしれません。
しかし、
ゴミ屋敷には、
高齢化や病気、
孤立、
生活管理の難しさなど、
さまざまな背景があります。
次回は、
実際に支援した80代男性の事例をもとに、
ゴミ屋敷を単なる片付け問題として考えないこと
そして、
住まいを失う前に支援者が気付くポイントについてお伝えします。
