第8回【イエサポ住まい支援コラム】
【イエサポ住まい支援コラム】第8回
退院することになったけれど、帰る家がない。そんなときどうする?
退院後の住まい探しは、退院直前ではなく早めの相談が大切です
前回の振り返り
第7回では、
「高齢者の一人暮らしを、大家さんはなぜ不安に感じるのか」
についてお伝えしました。
大家さんが心配しているのは、
年齢そのものだけではありません。
緊急時に誰へ連絡するのか。
入居後に誰が支援するのか。
亡くなった後は誰が対応するのか。
こうした、
「何かあったときの支援体制が見えないこと」
が大きな不安につながる場合があります。
今回は少し視点を変えて、
病院や施設から退院・退所する方の
「帰る家がない」
という問題についてお話しします。
退院できる。でも、帰る家がない
医療上の退院と、生活上の退院は同じではありません
病院での治療が終わり、
「退院できます」
と言われる。
本来なら喜ばしいことです。
しかし、
退院後に戻る家がなければ、
話は簡単ではありません。
例えば、
入院中に以前の住まいを失った
家賃滞納などで戻れない
家族との関係が途切れている
高齢で新しい賃貸住宅が見つからない
保証人がいない
保証会社の審査に不安がある
生活保護を申請する必要がある
といったケースがあります。
治療が終わったからといって、
生活の準備まで整っているとは限りません。
だからこそ、
退院支援には「住まい」という視点が欠かせません。
退院・退所予定の段階から住まい相談はできます
家がなくなってから相談する必要はありません
私たちが社会福祉協議会様で行った講演では、
居住支援が必要になるタイミングとして、
家賃滞納や退去通知、
保証人不在、住所不定などと並んで、
「退院・退所予定」
も挙げました。
これは非常に大切なポイントです。
退院日が決まって、
その数日前になってから、
「実は帰る家がありません」
となると、
できることが限られてしまいます。
一方で、
退院の可能性が見えた段階から相談できれば、
物件探しだけではなく、
保証会社、
初期費用、
行政手続き、
生活保護、
入居後の支援体制などを、
一つずつ整理する時間ができます。
住まい探しだけでは解決できないことがあります
「部屋を紹介する」だけでは退院後の生活は始まりません
退院後の住まい相談では、
単純に空いている部屋を探せば終わり、
というケースばかりではありません。
住まいが決まったとしても、
例えば、
家具がない。
家電がない。
電気やガスが使えない。
携帯電話がない。
通院先までどう行くか分からない。
福祉サービスとの調整が必要。
こうした問題が残ることがあります。
講演資料でも、
ホームサポート(イエサポ)が実際に行う支援として、
住まい探しや大家さんとの交渉だけではなく、
保証会社との調整、
生活保護申請への同行、
家具家電の準備、
ライフライン手続き、
病院や相談支援専門員との連携などを挙げています。
私たちが支えたいのは、
単なる「入居」ではありません。
退院後の生活を始められる状態をつくることです。
病院だけでも、不動産会社だけでも難しい
それぞれが持っている情報が違います
退院支援では、
病院側と不動産側で見えているものが違います。
病院では、
本人の病状や、
退院後に必要な医療、
生活上の注意点を把握しています。
一方で、
不動産会社は、
賃貸契約に必要な条件や、
大家さんが不安に感じること、
保証会社の利用条件などを確認します。
さらに、
行政や福祉関係者は、
利用できる制度や、
入居後の支援体制を考えます。
どこか一つの機関だけで、
すべてを抱えるのは難しい問題です。
講演の最後でも、
住まいの問題は福祉の問題であり、医療の問題であり、地域の問題でもある
とお伝えしました。
病院のMSWからの早い相談が大きな助けになります
「まだ退院日は未定です」でも構いません
病院で患者さんの退院支援に携わる、
MSW(医療ソーシャルワーカー)の方から、
住まい相談につながることがあります。
ここで重要なのは、
退院日が完全に決まるまで待つ必要はない、
ということです。
例えば、
「退院後、自宅へ戻るのは難しそう」
「家族宅では受け入れられない」
「本人名義の住居がない」
そんなことが分かった段階で、
住まいについて考え始めることができます。
むしろ、
まだ少し時間がある段階だからこそ、選択肢を探せます。
住まい探しには、
大家さんへの説明や、
保証会社の調整など、
時間が必要になることがあります。
大家さんにも説明が必要です
病歴ではなく「入居後の体制」を伝えることが大切です
退院後の方の住まい探しでは、
大家さんが不安を感じる場合もあります。
例えば、
「一人で生活できるのか」
「また体調が悪くなったらどうするのか」
「緊急時は誰へ連絡するのか」
といった不安です。
ここで大切なのは、
本人について必要以上の情報を伝えることではありません。
必要なのは、
入居後に誰がどのように関わるのかを整理することです。
病院。
行政。
相談支援専門員。
ケアマネジャー。
訪問看護。
居住支援法人。
関係者がいるのであれば、
大家さんにとっても、
「何かあったとき相談できる先がある」
という安心につながります。
住まいがないと、その後の福祉支援も進みにくくなります
住まいは生活再建のスタート地点です
住まいがなくなることは、
寝る場所がなくなるだけではありません。
講演資料では、
住まいがないことで、
住所がない。
郵便物が届かない。
就職活動ができない。
生活保護申請が進みにくい。
介護サービスの調整が難しい。
といった問題が起こることを紹介しました。
だからこそ、
住まいはゴールではなく、生活再建のスタート地点
だと私たちは考えています。
退院後の生活も同じです。
家が決まったから終わりではありません。
そこから、
医療や福祉を利用しながら、
地域での生活を再びつくっていきます。
退院後に必要なのは「住める部屋」だけではありません
暮らし続けられる環境まで考える
退院後の住まいを考えるとき、
家賃や間取りだけで決めるのは危険です。
例えば、
通院先まで通えるのか。
階段の上り下りはできるのか。
買い物はできるのか。
訪問介護などのサービスを利用できるのか。
入居後に孤立しないか。
こうした生活面も考える必要があります。
つまり、
「入れる部屋」と「暮らせる住まい」は同じではありません。
本人の状況を確認しながら、
医療や福祉の支援者と一緒に考えることで、
退院後の生活につながりやすくなります。
社会福祉協議会や地域の支援機関との連携も重要です
誰か一人が全部を抱える必要はありません
退院後の生活には、
住居確保だけでなく、
金銭管理や見守り、
地域とのつながりが必要になる場合があります。
講演資料では、
社会福祉協議会と居住支援法人が連携した場合、
社会福祉協議会が相談支援や金銭管理、
見守り、地域とのつながりを担い、
居住支援法人が住居確保、
大家さんや保証会社との調整、
生活再建支援を担う、
という役割分担もご紹介しました。
大切なのは、
どこか一つの機関に任せることではありません。
それぞれの専門性をつなぐことです。
貝塚市・岸和田市など泉州地域で住まいに困ったら
私たち**ホームサポート(イエサポ)**は、
大阪府指定の居住支援法人として、
貝塚市・岸和田市をはじめとした泉州地域で、
さまざまな住まい相談に携わっています。
高齢者 賃貸の相談。
生活保護 住まいの相談。
保証人がいない。
退院後に戻れる家がない。
こうした問題は、
それぞれ別のように見えて、
実はつながっていることがあります。
だからこそ、
「まだ退院日も決まっていないし」
「本当に相談していいのかな」
という段階でも構いません。
まとめ|退院日より先に「退院後の暮らし」を考える
治療が終わったから、
退院できる。
それだけでは、
地域での生活を再開できないことがあります。
戻る家があるのか。
生活費はどうするのか。
医療や福祉をどう継続するのか。
何かあったとき誰へ相談するのか。
退院後の暮らしまで考えることが、
本当の意味での退院支援だと感じています。
そして、
住まいについては、
退院直前ではなく、退院の可能性が見えた段階から考えること
が大切です。
早ければ、
その分だけ一緒に考えられることが増えます。
「これって相談していいのかな?」
と思われたら、
住まいを失ってからではなく、
住まいを失う前にご相談ください。
早い段階であればあるほど、
一緒に考えられる選択肢は広がります。
もしこの記事を読んで、
「このケースも相談できるかな?」
と思われた方は、
お気軽にお問い合わせください。
ご本人やご家族だけでなく、
病院のMSW、
相談支援専門員、
ケアマネジャー、
社会福祉協議会、
行政など、
支援に携わる方からのご相談も、
状況を整理するところから一緒に考えていきます。
次回予告|第9回
「精神疾患があると賃貸住宅を断られる?住まい探しで大切なこと」
「精神疾患があると伝えたら断られた」
そんな相談を受けることがあります。
しかし、
大家さんが不安に感じているのは、
診断名そのものではなく、
入居後に困ったことが起きた場合の
支援体制が見えないこと
である場合があります。
次回は、
精神疾患のある方の住まい探しについて、
大家さんの不安、
相談支援専門員や医療機関との連携、
居住支援法人ができることを、
現場の視点からお伝えします。
