第3回【イエサポ住まい支援コラム】
【イエサポ住まい支援コラム】第3回
高齢者はなぜ賃貸住宅を借りにくいのか?
「断られる理由」を知ることで、住まい探しは変わります
前回の振り返り
第2回では、「住宅セーフティネット制度」と「居住支援法人」についてご紹介しました。
住まいに困る方を地域全体で支える制度があり、その制度を活用するためには、行政・福祉・医療・不動産が連携することが大切だというお話をしました。
今回は、私たちが日々もっとも多く相談を受けるテーマの一つ、
「高齢者はなぜ賃貸住宅を借りにくいのか?」
について、現場の経験をもとにお伝えします。
「高齢だから断られた」
本当に年齢だけが理由なのでしょうか?
「75歳だから断られました。」
「何件も不動産会社を回ったけど全部断られました。」
このような相談は、住まい相談の現場で珍しくありません。
しかし結論からお伝えすると、
年齢そのものが理由で断られているケースは、実はそれほど多くありません。
もちろん年齢を理由に慎重になる大家さんもいます。
ですが、お話を聞いていくと、本当の理由は別のところにあることがほとんどです。
大家さんが本当に心配していること
「貸したくない」のではなく、「不安」があるのです
私たちはこれまで、多くの大家さんとお話をしてきました。
そこでよく聞く声があります。
それは、
「高齢者だから嫌なのではありません。」
という言葉です。
大家さんが心配しているのは、
- 室内で体調が急変したらどうしよう
- 孤独死が起きたら誰に連絡すればいいのか
- 家賃が払えなくなったらどうなるのか
- 認知症が進行したら対応できるのか
- 入院したら部屋はどうなるのか
- 亡くなられた後の手続きは誰がするのか
つまり、
「もし何かあったとき、自分だけで対応しなければならないのではないか。」
という不安なのです。
この不安を理解しないまま、
「高齢者だから差別された。」
と考えてしまうと、本当の課題は見えてきません。
実際にあった相談
「保証人がいないので借りられません」
以前、80代の男性から相談がありました。
年金収入があり、
毎月の家賃も十分支払える状況でした。
しかし、
保証人がいない。
身寄りも少ない。
という理由で何件も断られていました。
生活能力に問題があったわけではありません。
収入にも問題はありません。
それでも、
大家さんは、
「もし何かあったら…」
という不安を抱えていました。
そこで私たちは、
保証会社だけでなく、
緊急連絡体制や支援機関との連携について丁寧に説明しました。
さらに、
入居後も継続して状況を共有することを大家さんへお伝えしました。
すると、
「そこまで一緒に見てもらえるなら安心ですね。」
と言っていただき、
無事に契約することができました。
この経験から改めて感じたのは、
**住まい探しは、物件探しではなく「安心をつくること」**だということです。
「高齢者 賃貸」の課題は、地域全体の課題です
これからさらに増える相談
日本では高齢化が進んでいます。
貝塚市や岸和田市を含む泉州地域でも、一人暮らしの高齢者は年々増えています。
その一方で、
- 子どもが遠方に住んでいる
- 身寄りがない
- 持ち家を手放した
- 施設に入る予定はまだない
という方も増えています。
つまり、
「元気だけど家を借りられない」
という方が、今後さらに増える可能性があります。
これは個人の問題ではなく、
地域全体で考えるべき課題です。
居住支援法人ができること
不安を減らし、安心を増やす役割
私たちホームサポート(イエサポ)は、大阪府指定の居住支援法人として、高齢者の住まい探しをお手伝いしています。
その中で大切にしているのは、
「借りられる物件を探すこと」だけではありません。
例えば、
- 本人の生活状況を確認する
- 保証会社を調整する
- 大家さんへ状況を説明する
- 行政や社会福祉協議会と連携する
- 必要に応じて包括支援センターやケアマネジャーと情報共有する
- 入居後も相談できる体制を整える
このように、
安心して貸せる環境を一緒につくることも、私たちの大切な役割です。
「貸す側」と「借りる側」の気持ちをつなぐ
どちらかが悪いわけではありません
住まい相談をしていると、
借りる側には借りる側の不安があります。
一方で、
大家さんにも大家さんの不安があります。
どちらかが悪いわけではありません。
必要なのは、
お互いの不安を理解し、
間に入って調整する人がいることです。
講演でもお伝えしましたが、
大家さんが求めているのは、
**「保証」よりも、「一人で抱え込まなくていい安心感」**です。
その安心感を地域で支えていくことが、
これからますます重要になると感じています。
まとめ
高齢者が賃貸住宅を借りにくい理由は、
年齢だけではありません。
多くの場合、
「何かあったときに一人で対応しなければならない。」
という不安があります。
だからこそ、
行政、医療、介護、福祉、不動産、そして居住支援法人が連携し、
大家さんも安心できる環境をつくることが大切です。
住まいは、
安心して暮らすためのスタート地点です。
年齢だけで住まいを諦めてしまう方が一人でも減るよう、
地域全体で支え合える仕組みをこれからも広げていきたいと思います。
「これって相談していいのかな?」
と思われたら、
住まいを失ってからではなく、
住まいを失う前にご相談ください。
早い段階であればあるほど、
一緒に考えられる選択肢は広がります。
もしこの記事を読んで、
「このケースも相談できるかな?」
と思われた方は、
お気軽にお問い合わせください。
状況を整理しながら、必要に応じて行政や関係機関とも連携し、一人ひとりに合った方法を一緒に考えていきます。
次回予告(第4回)
「生活保護を受けると賃貸住宅は借りられない?」
「生活保護だから部屋は借りられない。」
そんな思い込みから、住まい探しを諦めてしまう方が少なくありません。
次回は、生活保護 住まいに関するよくある誤解と、実際の現場で見えてきた課題、大家さんとの信頼関係づくりについてお伝えします。