第4回【イエサポ住まい支援コラム】
【イエサポ住まい支援コラム】第4回
生活保護を受けると賃貸住宅は借りられない?
「生活保護だから無理」と諦める前に知ってほしいこと
前回の振り返り
第3回では、
「高齢者はなぜ賃貸住宅を借りにくいのか?」
についてお伝えしました。
高齢だからという理由だけではなく、
「何かあったときに誰が対応するのか」
という大家さん側の不安が、住まい探しを難しくしているケースがあります。
そのため、保証会社や支援機関、居住支援法人などが関わり、
「大家さんが一人で抱え込まなくていい環境」
をつくることが大切だとお伝えしました。
今回は、住まい相談の現場でも非常に多い、
「生活保護を受けると賃貸住宅は借りられないのか?」
という疑問についてお話しします。
生活保護を受けていても賃貸住宅は借りられます
「生活保護だから無理」とは限りません
最初に結論をお伝えします。
生活保護を受給しているからという理由だけで、賃貸住宅を借りられないわけではありません。
実際に私たちホームサポート(イエサポ)でも、
生活保護を受給されている方や、これから申請を予定している方から住まい相談を受けています。
ただし、
一般的な賃貸住宅探しと比べると、確認や調整が必要になることがあります。
例えば、
- 家賃が住宅扶助の範囲に収まるか
- 保証会社を利用できるか
- 緊急連絡先をどうするか
- 初期費用をどうするか
- 大家さんの理解を得られるか
- 行政との調整が必要か
などです。
つまり、
「生活保護だから借りられない」のではなく、入居までに整理すべき条件が多いことがある
というのが、現場で感じている実情です。
住まいがないと生活再建そのものが難しくなります
住所がないことは、想像以上に大きな問題です
私たちが社会福祉協議会様で行った講演でも、
「住まいはゴールではなく、生活再建のスタート地点」
ということをお伝えしました。
住まいがなくなると、
- 住所がない
- 郵便物を受け取れない
- 携帯電話がない場合もある
- 就職活動が難しくなる
- 介護や福祉サービスの調整が難しくなる
など、一つの問題が次の問題につながっていきます。
だからこそ、
「完全に住まいを失ってから考える」
のでは遅い場合があります。
家賃滞納が始まった。
退去の話が出ている。
収入がなくなった。
このような段階での住まい相談が重要です。
実際にあった「住所不定の80代男性」のケース
お金・保証人・携帯電話・住所がない
実際に支援した80代の男性がいました。
相談時には、
住所なし、携帯なし、所持金なし、保証人なし。
さらに保証会社も利用できない状態でした。
本人は住まいを必要としていました。
行政も支援したいと考えていました。
しかし、
通常の賃貸契約に必要な条件が揃っていません。
「部屋を探しましょう」
だけでは解決できないケースでした。
大家さんとの交渉から一つずつ進めました
そこで、
大家さんへの事情説明や契約条件の調整を行いました。
契約費用についても分割で対応できるよう相談。
まず住まいを確保し、
その後、生活保護申請や保証会社への加入へと進みました。
このケースから分かったことがあります。
この男性は単に、
「家がない人」だったわけではありません。
住所、携帯、お金、保証、見守り。
生活を支えるいくつものものを同時に失っていました。
だからこそ、
不動産だけでも、
福祉だけでも解決できなかったのです。
大家さんが不安を感じる理由も考える必要があります
「生活保護だから嫌」という話だけではありません
生活保護受給者の住まい探しでは、
借りる側の事情だけに目が向きがちです。
しかし、居住支援の現場では、
大家さん側の不安を解消することも非常に重要です。
大家さんからすると、
「家賃はきちんと支払われるのか」
「何かあったら誰に相談すればいいのか」
「近隣トラブルが起きたらどうするのか」
といった心配があります。
私たちが講演でもお伝えしたのは、
大家さんが求めているのは、
「保証」だけではなく、「一人で抱え込まなくていい安心感」
だということです。
生活保護を受けていても「住んだ後」の支援が重要です
入居できれば終わりではありません
これは生活保護に限った話ではありません。
住まいが決まった後に、
新しい問題が見えてくることがあります。
実際にあったのが、
生活保護を受給していた80代男性のケースです。
訪問介護サービスも利用していました。
つまり、
すでに福祉の支援につながっていた方です。
しかし、
ゴミ屋敷状態となり、家賃も滞納。
退去寸前まで状況が悪化していました。
支援があっても「情報がつながっていない」ことがあります
介護サービスでは、
本人の健康状態は把握されていました。
しかし、
家賃滞納までは把握されていませんでした。
本人も、
何を支払えばよいのか分からない。
片付けられない。
誰に相談すればいいのか分からない。
一方で大家さんには、
家賃の未払い、近隣からの苦情、部屋の状態悪化という問題がありました。
最終的には、
新しい住居を探し、転居。
前の住居を退去し、ゴミの搬出まで行いました。
このケースで強く感じたことがあります。
誰か一人が悪かったわけではありません。
一番の問題は、
必要な情報がつながっていなかったことでした。
「家賃滞納」は住まいを失うサインです
滞納が続く前に相談してください
生活保護を受給している方だけではありません。
家賃の滞納が始まったら、
それは生活全体に何らかの変化が起きている可能性があります。
失業した。
病気になった。
家計管理が難しくなった。
認知機能が低下してきた。
家族関係が変わった。
原因は人によって違います。
だからこそ、
「家賃を払ってください」
だけでは解決できないケースがあります。
家賃滞納は、住まいを失うサインの一つです。
退去が決まってからではなく、
そのサインが出た段階で支援につなげることが重要です。
生活保護と住まいの問題は誰か一人では解決できません
福祉と不動産をつなぐことが重要です
生活保護の住まい相談では、
行政だけで解決できないことがあります。
不動産会社だけでも難しいことがあります。
だからこそ、
- 行政
- 社会福祉協議会
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
- 相談支援専門員
- 医療機関
- 大家さん・管理会社
- 不動産会社
- 居住支援法人
などが、それぞれの立場で情報を共有することが大切です。
私たち ホームサポート(イエサポ)も、
大阪府指定の居住支援法人として、
貝塚市、岸和田市をはじめとした泉州地域で住まいに関する相談を受けています。
大切なのは、
「誰が全部やるのか」ではありません。
それぞれができることを持ち寄ること。
それが、住まいを失うことを防ぐ力になると考えています。
まとめ|生活保護だから住まいを諦めないでください
生活保護を受けているからといって、
賃貸住宅を借りられないわけではありません。
ただし、
保証会社、初期費用、家賃、緊急連絡先、大家さんとの調整など、
一つずつ整理しなければならないケースがあります。
そして何より大切なのは、
問題が大きくなる前に相談することです。
生活保護を申請するか迷っている。
家賃を滞納してしまった。
退去を求められている。
保証人がいない。
今の住まいを維持できるか不安。
そんな段階でも、住まい相談をして構いません。
「これって相談していいのかな?」
と思われたら、
住まいを失ってからではなく、
住まいを失う前にご相談ください。
早い段階であればあるほど、
一緒に考えられる選択肢は広がります。
もしこの記事を読んで、
「このケースも相談できるかな?」
と思われた方は、
お気軽にお問い合わせください。
状況を一緒に整理し、
必要に応じて行政や福祉などの関係機関とも連携しながら、
今できる方法を考えていきます。
次回予告|第5回
「家賃を滞納したら、すぐ退去しないといけない?」
家賃滞納は、
住まいを失う大きなきっかけの一つです。
しかし、その背景には失業や病気、生活状況の変化など、さまざまな事情があります。
次回は、
家賃滞納から住まいを失わないために、どの段階で誰に相談すればよいのか。
実際の支援経験を交えながらお伝えします。
